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高次脳機能障害とは

 

目次

1.高次脳機能障害とは
2.高次脳機能障害の症状
3.高次脳機能障害への対応

 

1.高次脳機能障害とは

高次脳機能障害とは、後天的(産まれた後)に脳が何らかのダメージを負い、そのことが原因でさまざまな高次脳機能の問題を呈することをいいます。
成人の高次脳機能障害は、脳梗塞などの脳血管障害が原因となる場合が多いのに対し、小児の場合は、その他にも急性脳症や頭部外傷(交通事故など)、脳腫瘍など原因はいろいろです。
なお、成人に比べて、小児は予後が比較的良好であるとされています。
脳などの中枢神経は、いったんダメージを負うと、本来は修復されませんが、小児では、まれに成長の過程で脳の代償機能が働くようになる(脳の他の部分がダメージを負った部分の役割を引き受ける)ことがあるからです。

高次脳機能障害は、上に書いたように産まれた後に起こるものであり、先天的(生まれつき)の原因が想定される発達障害には、厳密にいうと含まれません。
しかし後に書くように、高次脳機能障害が原因となる症状には、発達障害のそれと重なる部分が多くみられます。
つまり、同じように高次脳機能の症状があっても、先天的な原因であれば発達障害、後天的な原因であれば高次脳機能障害であるといえるでしょう。

2.高次脳機能障害の症状

高次脳機能障害の症状としては、ダメージを負った脳の場所や程度にもよりますが、主に以下が挙げられます。

  • 【易疲労性】…疲れやすく、長時間の着座や姿勢の保持が難しくなることがあります。また、頭を使う作業に関しても長い時間取り組むことが難しくなります。
  • 【発動性の低下】…何事に対してもやる気がなくなり、自分から何かを「始める」ということが難しくなります。
  • 【脱抑制】…急に怒り出す、大声を出す、他人の家に入っていく、順番を待てないなど、通常であれば自分を抑制できる場面でそれができなくなります。
  • 【注意力・集中力の低下】…注意があちこちに移る、じっとしていられない、ひとつの課題に最後まで取り組めないなどの症状があります。
  • 【情報処理能力の低下】…読む、書く、話す、聞くといった、意思表示や他者とのコミュニケーションが難しくなります。相手の指示を理解できなくなったり、言葉がなかなか出てこなくなる場合があります。
  • 【記憶の障害】…過去のエピソードについての記憶がある一方、新しいことを覚えるのが難しくなります。直前言われたことや、ついさっき会った人の名前を忘れてしまう場合もあります。
  • 【実行機能(遂行機能)の障害】…実行機能(遂行機能)と呼ばれる心的機能が低下します。段取りの良さや思考の柔軟性、要領の良さが失われる場合があります。
  • 【視空間認知の障害】…相手や物との距離感をつかみにくくなり、ぶつかってしまったり、迷子になってしまう場合があります。
  • 【失見当識】…自分がどこにいるかわからなくなる、季節感がなくなる、日付や時間がわからなくなるなどの症状がみられます。
  • 【現実感の欠如】…自分の障害を否定する、現状の受け入れ拒否などがみられます。

3.高次脳機能障害への対応

上に挙げた、高次脳機能障害の主な症状に対しては、以下の対応が一般的です。
ただし、症状やキャラクターにはお子さんによって個人差がありますので、一般的な対応をふまえつつも、そのお子さんに合った対応を常に模索していくべきでしょう。

  • 【易疲労性】…適宜休憩をとらせてあげることが必要です。また、リラックスできるように気分を入れかえてあげることや、時には軽い運動が逆に疲労軽減につながることもあります。
  • 【発動性の低下】…予定をあらかじめ書きだしておくことや、周囲が行動のきっかけを示してあげること、いくつか選択肢を設けて本人に選ばせてあげるなどの対応があります。
  • 【脱抑制】…本人の不適応行動に対して周囲が感情的にならない、ポジティブな言葉がけを心がけるなどの対応が望まれます。
  • 【注意力・集中力の低下】…視界に入る余計な物をなるべく排除することで刺激を少なくし、目の前のことに集中できるようにしてあげる、指示は短くその都度伝える、などの対応があります。
  • 【情報処理能力の低下】…言葉が出ない場合は周囲がヒントを出す、言葉で気持ちを代弁する、非言語コミュニケーション(ジェスチャーなど)を交える、などの対応があります。
  • 【記憶の障害】…指示は短くその都度伝えてあげる、メモを習慣づける、本人が言ったことを復唱して返してあげる、といった対応があります。
  • 【実行機能(遂行機能)の障害】…予定は前もって伝えて急に変更しない、ゴールまでの道筋を示してあげる、視点を切り替えるヒントを出してあげる、といった対処が望ましいです。
  • 【視空間認知の障害】…本人の定位置にわかりやすく目印をつけてあげる、指さし確認を習慣づける、などの対応があります。
  • 【失見当識】…日記をつける、季節感を意識したあいさつを周囲が心がける、カレンダーや時計を目立つところに配置する、などの対応があります。
  • 【現実感の欠如】…障害や本人が「できないこと」の受け入れを無理に促さない、「できること」に注目して本人に伝えてあげる、などの対応が望まれます。