こどもの訪問発達サポート Apila

協調運動障害(DCD)とは

日常のさまざまな行為にかかわる“協調運動”

「運動音痴」「ぶきっちょ」「おっちょこちょい」「姿勢が悪い」などと言われ、うまくいかずに悩んでいる子どもたちは結構いますね。

一般に運動は身体のことと思われがちですが、実は、筋力、関節の柔軟性、心肺機能などを除いて、身体の動きをうまくスムーズにコントロールするのは「協調運動(coordination)」と呼ばれる機能です。

これは、視知覚・触覚・固有覚・位置覚などさまざまな感覚入力をまとめあげ、運動として出力する一連の「脳」の機能です。

「協調」はあらゆる人間の活動に関係しています。

  • 運動やスポーツ
  • 食べ物を咀嚼する・飲み込む
  • 言葉を話す
  • 洋服の脱ぎ着する行為
  • 箸やナイフ・フォークを使う
  • ペットボトルやドアノブの開け閉め
  • 塗り絵・描画や字を書くこと
  • ハサミや定規・コンパスなどの文具・道具を使うこと
  • リコーダー・鍵盤など楽器操作
  • 折り紙・ブロック・プラモデル・パズル・ビーズやゲーム機など手先を使った活動
  • 自転車をこぐこと
  • 縄跳びやダンスなどバランスやタイミングを必要とする遊び
  • ものを落とさない・こぼさないこと
  • 人やものにぶつからずに歩く、きちんと椅子に座る

など、その他にもたくさんあります。
『協調』は、子どもたちのさまざまな日常生活・学校生活に必要な重要な「脳機能」の一つで、子ども達の認知、社会性、学習、情緒、自尊感情の発達と深く関わっているのです。

この「協調」という「脳機能」の発達の問題が、DSM-5での「発達性協調運動障害(developmental coordination disorder:DCD)」に該当します。

DCDの頻度は約6〜10%と非常に高く、決して稀な状態ではありません。
さらに、50〜70%と高い頻度で成人になっても残存し、メーキャップや髭剃り、料理、細かい手作業、タイピング、自動車の運転など成人特有の日常生活や職業上の課題に影響し、結果、社会参加の低下、うつ病・不安障害など精神障害、肥満や糖尿病などの生活習慣病、心血管障害につながることが知られています。

 また、DCDは注意欠如・多動性障害(attention-deficit/hyperactivity disorder:AD/HD)の約30〜50%、限局性学習障害(specific learning disorder:SLD)の約50%に併存します。また臨床的に自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorder:ASD)に不器用さを伴うことはよく知られており、約40%に併存します。

協調運動障害(DCD)への対応

ひとくちにDCDのお子さんといっても千差万別です。
運動はとても得意だけど、字がとても汚かったり極端に手先が不器用だったりするお子さんがいる一方で、運動は全くダメだけど手先がとても器用なお子さんもいます。
DCDは単一の障害ではなく、いくつかのサブタイプがあると推測されているのです。
DCDという発達障害でひとくくりにするのではなく、個別性をふまえ、お子さん1人ひとりに合わせた対応を模索していく必要があるでしょう。

一般的な支援としては、それぞれのライフステージにおける課題や困り感に合わせて、お子さん自身ができるようになりたいことを課題として設定し、学際的に取り組む課題指向型アプローチ(task-oriented approach)・認知運動アプローチ(Cognitive-Motor approach)があります。
なお、これについては、介入は療育施設などの特別な場所ではなく、家庭や学校など日々の生活の場面で行われること、そして子どもに関わる保護者や教師など重要な人物との協働が大切となります。

また、薬物療法として、AD/HDを併存する場合には、メチルフェニデートがAD/HDの中核症状に対する効果以外に、協調運動に対する有効性が報告されています。

その他には、自尊感情の低下、二次障害がある場合、カウンセリングを含めた心理社会的アプローチも必要となります。

さらに、全てはうまくできなくとも、例えば書字であればパソコンの音声入力など代替手段を利用するなど、発想の転換や合理的配慮も重要です。

いずれにせよ、子どもに日常生活のなかで困難さがある場合、困難さがあることを客観的に示す事は重要なので、発達検査等の様子や、適応行動の把握等のなかで、具体的に運動スキルのうち何に困っているのかを捉え、適切に介入していかなければなりません。

そのためには、やはりまず検査によって、現状を客観的に評価していくことが求められます。
Apilaにおける検査の説明については、『サービス内容』のページをご参照ください。